“世界のキタノ”が描く観たことない「本能寺の変」 映画『首』を観て本能寺へ聖地巡礼

構想30年。巨匠・北野武監督の最新作は、独自の視点で「本能寺の変」をテーマに戦いと謀略に明け暮れる武将たちを描く歴史大作。本能寺の変を描くということは…舞台は中京区のあそこですね。

映画『首』

時は戦国時代末期。天下統一に向けて各地の勢力と激しい戦いを繰り広げる織田信長（加瀬亮）は、重臣の荒木村重（遠藤憲一）に裏切られてしまいます。

信長は家臣を一堂に集め、自身の跡目相続を餌に村重の捜索を命じます。
なんと無能な息子たちではなく、働き次第で家臣に天下を譲るというのです。

色めき立つ諸将。その中でひとり冷静を装う明智光秀（西島秀俊）。
作品によっては奸佞な人物として描かれることもある光秀ですが、今作では知的で真面目な好人物として描かれます。
信長にも臆せず正論を述べてはボコボコにされる不器用でかわいそうな人ですが、実は光秀も腹に一物かかえています。というか、もう病んでいる…

一方、羽柴秀吉（ビートたけし）と弟の秀長（大森南朋）、軍師の黒田官兵衛（浅野忠信）は、この騒動に乗じて信長と光秀を陥れようと画策します。
千利休（岸部一徳）の配下で元忍びの芸人・曽呂利新左衛門（木村祐一）を使い、村重を捕らえた秀吉は、村重を光秀のもとに送ります。しかし、なぜか村重をかくまう光秀。2人の間にはなにが…？

今作の荒木村重はなかなかの重要人物。かつて村重がこんなに重要視された作品があったでしょうか。
村重ファン（そんな人がいるかどうかわかりませんが）は必見でしょう。

村重の行方が分からずいらだつ信長は、村重の反乱の黒幕が徳川家康（小林薫）ではないかと疑い、光秀に家康暗殺を命じます。
信長と光秀を対立させるため、家康暗殺を阻止したい秀吉。迫る危機をなんとか回避しようとする家康。

はたして黒幕は誰なのか。信長、光秀、秀吉、村重、家康、利休…それぞれの思惑が入り乱れ、事態は思わぬ方向に向かって動き出す…

カンヌ国際映画先で拍手喝采を浴びて話題となった、北野武監督が脚本・主演・編集・原作をも兼ねた待望の最新作。天下を目指して狂奔する戦国武将たちを、暴力と狂気、笑いをちりばめながら描きだす、壮大な戦国エンターテインメント作品です。

「本能寺の変」の舞台 本能寺へ行ってきた

『首』において重要な場面である「本能寺の変」がおきた本能寺は、京都市中京区にある法華宗本門流の大本山の寺院です。映画の“聖地巡礼”というわけで「本能寺」に行ってきました。

「思てたんと違う…」という方も多いかもしれませんが、「本能寺の変」当時、本能寺は現在地の寺町御池ではなく、堀川四条にありました。

寺の敷地は東は西洞院大路、西は油小路、南は四条坊門小路、北は六角小路にわたり、東西150m・南北300メートルにおよぶ広大なものだったといいます。

「本能寺の変」の影響で織田信長の京都における宿所というイメージがありますが、信長は上洛した際に妙覚寺（上京区）を宿所とすることが多く、本能寺を宿所としたことは3回しかありません。
本能寺の変発生時は、息子の信忠が妙覚寺に逗留していたため、信長は本能寺を宿所としていました。
本能寺の変によって信長は自害、本能寺は消失。その後、豊臣秀吉によって現在の中京区下本能寺前町に移築されました。

跡地には京都市立本能小学校がありましたが、1992年（平成4年）に廃校になりました。
現在は京都市立堀川高等学校本能学舎と高齢者福祉施設「本能」などの複合施設になっています。

本能寺をしのばせるものは、油小路通蛸薬師にある「本能寺跡」の石碑と油小路小川にある「此附近 本能寺址」の石碑のみ。仕方のないことですが、日本史に残る重大な事件がおきた場所にしては、なんだか寂しい…
ただ、このあたりは地名が「本能寺町」「元本能寺町」となっており、歴史を今に伝えています。

本能寺跡

住所／中京区小川通蛸薬師元本能寺町

映画『首』は、2023年11月23日（木・祝）より全国ロードショー。
物語の舞台ともいえるここ京都では、TOHOシネマズ二条、イオンシネマ京都桂川、MOVIX京都、T・ジョイ京都、イオンシネマ久御山、福知山シネマ、イオンシネマ高の原で公開されます。

『首』

原作：北野武『首』（角川文庫／KADOKAWA刊）
監督・脚本・編集：北野武
出演：
ビートたけし
西島秀俊　加瀬亮　中村獅童
木村祐一　遠藤憲一　勝村政信　寺島進　桐谷健太
浅野忠信　大森南朋
六平直政　大竹まこと　津田寛治　荒川良々　寛一郎　副島淳
小林薫　岸部一徳
製作：KADOKAWA
配給：東宝　KADOKAWA
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