大宮にあるアンティークな小規模アート複合施設

現代的なアートな空間

四条大宮の後院通りから一本路地裏入った場所にひっそり佇むアートな空間がある。元々はアート宿泊施設として有名だったが、喫茶やギャラリーが融合した形で2021年にリニューアル。現在は、展覧会やイベント開催、京都のクリエイターらのアート店舗が入店している。隠れ家のような複合施設「kumagusuku」には新旧が混ざったような、ミニマルで現代的な雰囲気が漂う。一方で、季節行事のマルシェやランチ提供も行っており、立ち寄りやすい場所として地元住民からも注目されている。

複合施設「kumagusuku」

京町家を改装した迫力のある白壁の建築

小さなギャラリーには、アート施設らしいアイデアがたっぷりの内装が何とも魅力的。小さな奥の扉を開くと、そこにはアンティークな和と洋が混ざった落ち着いた空間が!エントランスのスタッフさんの笑顔に癒されつつ、喫茶ゾーンをさりげなく覗くと、間貸しカレー屋さんの食事のいい匂い。カウンターでほっこり、テーブル席でゆっくり会話しながらチラリ中庭に目をやると、吹き抜けの開放感を感じられて、カフェの居心地の良さも抜群。

◆1階の空間スペース

カウンターのある間貸し喫茶の店内の奥に、カフェの大窓から「奥の吹き抜けの中庭」が見えるのが特徴。庭を囲んでレンタルスペースがあり、季節マルシェなど、イベントやパーティーも積極的に開催している。おもしろいのは、定例イベントの風変わりなネーミングの「木曜日のつくらない菓子店」や、木造白塗りの離れにある小屋の「占い」ブースなどを運営している点。隠れ家風な複合施設のさらに奥に、さらなる「隠れ小屋」があるなんて、何ともアート的。

スタッフさん曰く「アート宿泊施設だった時よりも、地域とのつながりが飲食を通じて強くなった感じはしますね」とあるように、元の宿泊施設では、一回のご縁を大切にするような、いわゆるはじめてのお客様が多かったのに対し、リニューアル後の施設は、「ご近所付き合い」も少しずつ生まれてきたようだ。芸術という敷居の高さを、ギャラリーやワークショップとして開かれた場所にすることで、地元の人々にも認知されやすくなり、新しい客層の方も増えたそう。昨年度の冬のクリスマスマーケットでは、まちで暮らす人との交流の場に。他にも、このスペースでは、演劇やダンス、キッチンを併用させた、どこにもない企画が可能な場所になっている。

◆2階のギャラリースペース

一般の人々の日常には馴染みの少ない「アート」。だけど、展示やギャラリーと聞けば、一気に興味が湧く人も多いのではないだろうか。複合施設のコンセプトである「新しい視点からアートと人の関係をつくる」試みがまさに2階にある。靴を脱いで、階段を上がるだけでギャラリーの形としては新鮮に感じるが、アート作品というよりは、メガネや服、ポスターカードなど、日常に身近なアイテムが多いのに気づく。

アート建築としての見どころ

複合施設は京町家を改装してあるが、それがまた独特の建築様式である。モルタルの古い漆喰の壁や、レトロなタイル、トタン屋根は、まさに日本家屋を洋風にした雰囲気。この「あえて見せる改装」が程よいアート感を添えている。建物を回りながら、和洋折衷ポイントを探すのも楽しい。

運営者のプロフィール 

矢津 吉隆(Yoshitaka Yazu)kumagusuku代表株式会社kumagusuku代表取締役
1980年大阪生まれ。京都市立芸術大学美術科彫刻専攻卒業。京都芸術大学(旧京都造形芸術大学)非常勤講師、ウルトラファクトリープロジェクトアーティスト。京都を拠点に美術家として活動。また、作家活動と並行して宿泊型アートスペースkumagusukuのプロジェクトを開始し、瀬戸内国際芸術祭2013醤の郷+坂手港プロジェクトに参加。主な展覧会に「青森EARTH 2016 根と路」青森県立美術館(2016)、個展「umbra」Takuro Someya Contemporary Art (2011)など。2013年、AIRプログラムでフランスのブザンソンに2ヶ月間滞在。アーティストのアトリエから出る廃材を流通させるプロジェクト「副産物産店」やアート思考を学ぶ私塾「アート×ワーク塾」など活動は多岐にわたる。 
http://www.yazuyoshitaka.com
http://kumagusuku.info

kumagusukuに訪れるみんな

この場所には、ふらっと一人で訪れて、新しいクリエイティブや人とのきっかけを求めている人が多いとのこと。運営者のアートワーク塾の活動もあるため、芸術関係でこの場所を知る人も多いが、もっと普段使いで、訪れてくれる人を待っている。ご近所向けには、まずはイベント来店などのきっかけを通じてアート施設の存在を広めていけたらというのがスタッフの皆さんの想い。地元やローカルエリアを、新しい発想で育んでいきたいという想いの方や、今の自分の仕事や人生をもっとクリエイティブにしたい方にもおすすめ!

近日中の開催イベント

春を謳う喫茶室

花びらの隙間からまぶしく光が差し込む
心待ちにしていた季節が巡ってきたと知る

やさしいお日様に照らされた心は
ゆっくり溶けて穏やかになる

甘く希望に満ち溢れた空気を
イラストレーションとお菓子で表現します

春をささやかに祝福する空間
ぜひ遊びにいらしてください

展示 / 焼き菓子 2023 . 3 . 8 wed – 12sun 11 : 00 – 17 : 00
喫茶 2023 . 3 . 10 fri – 12sun 12 : 00 – 17 : 00
入場無料

イベント主催者
illust exhibition わたなべありさ
instagram @alisa_illust
cafe / sweets SOYOKASHI
instagram @soyo_kashi

春の訪れに、アートを感じながら大宮のまちをぶらぶらするのにぜひ立ち寄ってみてほしい。日常の中に少し遊び心と人との出会いを。大宮にある、小さなまちのアート施設はゆっくりしたクリエイティブ空間との時間を紡いでくれる。

投稿者プロフィール

てんちょー
てんちょー
カナダに移住するはずだった、Uターン娘。地元ならではのワクワクを探しつづける日々。洗濯物は、毎日コインランドリー派。場の空気を読むのが下手で、家事が嫌いなのが弱点。
40歳からバンドを始めた喫茶店オーナーです。

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