みんなのコミュニティ京都ランドリーカフェ

■「人のつながり」、そしてその環

阪急京都線「西院駅」・嵐電「西院駅」から徒歩5分、嵐電の線路沿いに佇む「Kyoto Laundry Cafe」。西院エリアには、学生の街京都ならでは若い世代から、子育て世代、そして何世代にもわたって暮らしてきた人々…と、幅広い世代が行きかっています。近年、「多様化社会」と言われ社会分断が叫ばれるなかで、当店は、2019年3月の設立以降さまざまな角度から人と人をつなげ融合させる「ブレンディングコミュニティ」の拠点として事業を展開しています。コインランドリー、飲食、レンタルスペース・レンタルキッチン、シェアハウス運営に加え、2022年にはローカルウェブメディアと事業を展開し、街の人々が「発見し、つながり、さらにその環が広がる」居場所の提供を行っています。

様々な人が訪れるコミュニティカフェ・KYOTO LAUDNRY CAFE

■コインランドリーにサードプレイスの可能性を

コインランドリーは、洗濯物を洗い乾かすという家事を業務用の全自動洗濯機で代行します。従来は、独身層を中心に洗濯機が設置されていない家庭や、一時的な理由で洗濯機を使用できない場合における代用としての利用が大半でした。しかし、今では家庭での洗濯が難しい布団やシーツ等の大物の洗濯、梅雨などのシーズンに合わせた防カビ・抗菌など利用目的が拡大しています。さらに、女性の社会進出や高齢者の増加にともなった家事作業の短縮・負担軽減としての一役を担うなど、コインランドリーの利用目的は変化しています。私たちはそんな利用目的に応じたサービスの提供とともに、年齢や性別、職業、国籍を越えた様々な地域住民が利用するコインランドリーを、「街のもう一つの居場所」にしてもらいたい。そういう思いで、コインランドリースペースとともに、カフェを併設しました。洗濯機が回っている時間に、おいしいコーヒーを飲んでちょっとほっこりする。地域の人々がリラックスできるような時間と空間を提供することが、私たちの挑戦の「はじめの一歩」でした。

■「洗ってキレイ。」「食べてキレイ。」「遊んでキレイ。」

「カフェを併設したコインランドリー」は、地域の人々の居場所づくりへの挑戦でもあります。お店と、お客様をはじめとした人との出会いが、さらにまた人との出会いを作っていく、そんな「一期一会の出会いの循環」こそが、ワクワクの循環なのです。その拠点として、カフェスペースをソーシャル利用ができるように、飲食事業から派生したイベントなど様々な企画を通して事業の裾野を広げていきました。

カフェスペースを利用した企画として、地域の団体や事業主(企業・個人)の出会いの場を創造する「ランドリーマルシェ」や、英・中・韓の3言語を会話ベースで学べる「外国語カフェ」、毎週日曜日開催の英会話の国際交流イベント「Meet Up Party」、シーズンごとの「ハロウィンパーティー」や「クリスマスパーティー」など、定期開催から季節限定開催の企画まで地域の方々が楽しめるよう幅広く行っています。

イベントを企画・運営するうえで大切にしているのは「つながり」という点。たとえば、ランドリーマルシェは「人と出会える装置」としての役割を持ち、無料でのブース出店を可能にしています。そのうえで、出店は1団体1回のみに限定。毎回異なるブースを出店していることで、ここでしかない出会いが生まれ、積極的なコミュニケーションが発生すると考えています。また、西院エリアは定住外国人が多いという特性があります。その地域性を活かすことから「外国語カフェ」では、在住外国人といった「まちびと」に講師を依頼しています。

キッズハロウィンイベントの様子

■コロナ禍で注目が高まったシェアキッチン

2020年、新型コロナウイルスによるパンデミックが起きました。「おうち時間」「リモート飲み会」「フードデリバリーサービス」や「テイクアウト」が急速に広まり、社会は「密」ではないコミュニケーションが求められるようになりました。飲食業を運営している私たちもそのありかたを自問し、スペースを持つ飲食店の新たな挑戦として、コミュニティレストラン「シェアキッチン」事業を始めました。街の人なら誰でも1日、当店のキッチンを利用してカフェのオーナーになることができるという取り組みです。ジャンルやオーナーの背景を問わず、オリジナル食堂を気軽に運営することが可能なので、さまざまな思いを持ったオーナーと地域の人々のつながりが生まれています。無添加お惣菜カフェ「たまのごはん」さんや、ビーガン料理のランチを提供する「rahmerc.co」さんなど、食に関わる様々な思いや社会課題に向き合った方々をはじめとし、今後も多様な食に関する取り組みを行うオーナーや団体を、「キッチン」という場所を通して応援していきたいと思っています。

みんなのシェアキッチン・間貸しレンタル

■ご近所さんたちの「いつもの場所」に付加価値を

コインランドリーという既存の概念に、「楽しい」「ワクワク」「仲間」というエッセンスを足して新しい「居場所」を作る。そして地域に住む人がもっと地域を愛せるような価値を提供することが私たちの事業の考え方です。おもしろいことをしたい、この地域をもっと好きになりたい、困っている人が駆け込めるようなお店でありたい。それが実現できるならば、世の中にない事業にも積極的に挑戦していきたいと思っています。

てんちょーことオーナーRie

オーナーであるRieは、在日コリアン3世として、京都で生まれ育ちました。立命館大学を卒業後、ルーツである韓国に移住し広告営業職に従事していました。帰国し一からビジネスを立ち上げる際に、生まれ育った街でおもしろいことをして、地域の人たちに喜んでもらいたいという思いが強くありました。年齢、性別、趣味嗜好、国籍…そういうカテゴリーの枠を外し、多様な人たちがブレンドされた「居場所」は、そんなオーナーの思いから産声を上げたのです。

イベントや取り組みに参画する団体や人、そしてそこへの集客の大半は、お店での会話をきっかけとして生まれたいわば「ご縁」の賜物。「このあたりに住んではるんですか?」「どんな活動されてるんですか?」「場所が必要ならうちのスペース使いませんか?」「マルシェでブース出店も可能ですかいかがですか?」そんな自然なコミュニケーションから、困りごとや素敵な挑戦をお手伝いさせていただくことで、多くの人と人の関わりが生まれてきたのです。

そしてそのコミュニケーションは、また新たなチャレンジの循環を作ってくれます。壬生の物件をDIYし間貸しをしている「シェアハウス兼コワーキングスペース事業」では、不登校の学生の居場所となり、また、若者を中心とした団体の会議室として利用いただくなど、地域の若年層のセカンド・サードプレイスになりました。Kyoto Laundry Caféでは「自主映画カフェ」、「サルサダンスパーティ」など多彩な事業やイベントに加え、中京区のローカルWebメディア「チョイチョイ倶楽部」を立ち上げ、オフラインだけでなくオンラインでも積極的に「一期一会」のコミュニティ作りに取り組んでいます。

■こだわりがないというこだわりを貫くために

店内に一歩足を踏み入れると「いらっしゃいませ」が…聞こえないお店にしよう。当店では少し意外ないくつかのポリシーがあります。それはお店とお客様が対等でありたいから。年齢や性別、国籍などに関わらず多様なお客様同士のつながりの連鎖を作っていくためには、お店とお客様に優劣や上下があってはいけないという考え方からです。店内でお願いしたいことを「~しないでください」と掲示するのではなく、きちんと目を見て話して納得していただくという、細やかなコミュニケーションを何より大切にし、人と人が一緒に安心して過ごせる空間を作り上げています。

■「#ワクワクが大好き」

クリスマスシーズンになると、店頭に大きなツリーをしつらえます。その名も「みんなで飾るツリー」。最初は飾りもなにもないただのモミの木のみですが、クリスマスに近づくにつれ、少しずつ飾りが増えていきます。お客様だけじゃなく、通勤・通学・通園の途中に、通りがかりの介護施設の高齢者の方やデートに向かうカップル、ペットやお子様との散歩のついでにと、さまざまな方がお店のツリーを媒介して、気ままにクリスマスというワクワクを共有しています。シェアキッチンやランドリーマルシェでも、本業以外の活動を応援させていただくことも多く、「楽しい」と思うことを少しだけ持ち寄れる・試せる・挑戦できるような空間の気軽さも当店の特徴なのです。

いろんなバックボーンを持つ人が交差しながら薄いマーブルを描くように混ざり合う、

「ゆるく、きままに、ごちゃまぜのコミュニティ」。

ワクワクしたときだけ、どうぞ立ち寄って。

そんな場所が京都の西の方にあるんです。

どうぞ、いつでも、おいでやす。